Q
中学時代は不登校で、某大学に進学した孫がいます。親よりも祖母の私を慕うかわいい孫です。彼は今2年生ですが、ある有名大学でどうしても心理学を学びたいので、来年受験したいそうです。普段から口もきかないほど仲の悪い彼の妹がその大学の同じ学部に在籍しています。それを知らなかった彼に伝えて諦めさせようとしましたが、余計なことだったのでしょうか。背中を押してやるべきでしたか。
A
不登校を経て、ここまでたどりついたお孫さんは、意志の強い頑張り屋さんなのだと思います。彼にとって、あなたはきっと強力な理解者で、彼の今があるのはあなたの存在も大きかったと思います。
彼の妹がすでに通っていることを知らずに、その大学を受けようとする彼にそれを教えたのは、おそらく親切心からで、その大学に行くことのデメリットを、受験前に伝えたかったのですよね。私は、今教えてあげてよかったと思いますよ。それで「妹がいるならやめる」と決めたのなら、彼の意思はその程度のものだったわけだし、もしも「それでも行きたい」と思ったのなら、その意思は本物です。経済的に余裕があるのなら、受験を勧めてもよいと思いますよ。もしも合格したら、遠回りの人生になりますが、彼にはそれをものともしない強さがあるような気がします。
でも、心理学を学習したいのなら、その大学にこだわる必要はないのかもしれません。今の大学や他の大学でも学べる可能性があります。いろんな選択肢があることも教えてあげてください。
そんな大事な決め事を、親に知らせず、おばあちゃんと2人で考えるのはよくないので、ぜひ親にも相談するようにと言ってください。あと、このまま今の大学に通っても、彼の可能性は無限に広がっているということも。(こどもコンサルタント)
プロフィル
原坂一郎(はらさか・いちろう) 23年間の保育士勤務を経て平成16年から、こどもコンサルタントとして研究・執筆・講演活動を行う。日本笑い学会理事。自他共に認める怪獣博士でもある。
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子育てに関する悩みを「原坂一郎先生へ」と記してお寄せください。原坂先生が回答します。<メール>life@sankei.co.jp