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全国学力テスト、記述問題の「白紙」提出が減少 解答模索する子供増加の兆し

産経ニュース 2024年7月29日 18時26分

29日に結果が公表された全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)では、記述式問題の成績が振るわなかった。論理的に考えた結果を分かりやすく表現するという学習指導要領で最重要視された力の不足が明らかとなった。しかし、これまでと比べると、正解を導けないまでも、あきらめずに挑戦する子供たちが増えているとの指摘もある。学力向上の芽を育てるため、指導方法の工夫が急務だ。

記述式正答率、5割届かず

「目的や意図に応じ、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫することができるか、という観点を特に意識して記述式問題を出した。それが正答率の低さの要因となっているのではないか」

正答率が前年度から10ポイント以上下がった中学3年の国語について、問題づくりにあたった国立教育政策研究所の担当者は、このように説明した。

中3国語の記述式問題は3つ。それぞれの正答率は45・1%、43・3%、49・8%と5割に届いていない。こうした傾向は小中学校ともに教科を問わず共通している。

中3数学でも、一次関数を使ってストーブの灯油を使い切る時間を考えさせ、その思考のプロセスを数学の知識を使って記述させる設問が出されたが、正答率は17・7%にとどまっている。

「無回答率着実に下がる」

子供たちが記述式を苦手とする傾向は長らく続いている印象を受けるが、その状況に改善の兆しがあるのも事実だ。

中3数学のストーブの問いを空欄で提出した生徒の割合(無解答率)は16・2%。同種の設問が出された過去の学力テストを振り返ると、平成20年度は58・5%、30年度は32・7%となっており、「着実に無解答率が下がってきている」(文部科学省学力調査室)。

あくまでも経年変化を確認できる一部の設問に基づいた分析だが、解答をあきらめていた子供たちが記述に挑戦するようになってきていると考えることができる。

ICT活用で学習効果高く

目的や意図に応じて考えを書き表せる能力を育てるには、授業で子供たちにテーマを話し合わせ、まとめさせたり、表現させたりする学習活動が欠かせない。

児童生徒に1人1台配られたタブレット端末などICT(情報通信技術)を上手に活用することで、その学習効果を高めることができる。今回の調査でも、ICT活用頻度が高いほど学力が高い傾向にあることが明らかになった。

文科省幹部は「授業改善が進めば、記述式の正答率も上がってくるはずだ」と期待感を示した。(玉崎栄次)

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