すでに入学試験が始まった学校もありますが、関西圏が来週、そしてもっとも受験生が多い東京・神奈川が2月1日に入学試験を迎えます。いやあ、1年は早かった。あっという間に6年生が終わったと感じている人も多いことでしょう。
そんな6年生も関西圏だとこれが最後のメッセージになりそうです。ということでこれだけは伝えておきたい。受験生本人に作戦会議という形で伝えてほしいと思います。
『入試問題をつまみ食いする感じで解いても絶対に合格者最低点は超えません!』
ニワトリが餌をつつくように問題を解いてはいけません。トンボでならすように、トンボがわからない人は、ほうきで掃くように端から丁寧に片づけなければいけません。
「捨てる問題の見極めが大事」なんて教わった子は、計算問題の次から「捨て問探し」に入ってしまいます。ちょっと難しそうに見えたら「ハイ、捨て問認定!」なんてことをやってしまう。次の問題を見たらまた難しい、右往左往している間に時間が過ぎてしまい、あちこちつついただけ。そんな状態で合格者最低点を超えることなんてあるはずがない。
計算問題から順に解いていき、どこで合格者最低点付近かを知っていて、最後の大問2つのうち1つを捨てても大丈夫ということを知っている、そんな子が捨て問という武器を使うのです。序盤の小問で1つ難しい問題があったときも、それを捨てても大問をどう取れば問題ないかを知っている、そういう子のための捨て問という策なのです。
何もわからず捨てるのは、諦めているのと同じこと、絶対に合格者最低点を超えることはないんだということを知った上で試験に臨んでほしいのです。試験時間が終わったとき、何だか丁寧に終われたなと感じたら、おそらく合格しているでしょう。入学試験とはそういうものなんだと伝えてほしいいと思います。
本番はいつもより緊張するでしょう。何をやっているかわからずオロオロして終わる子もいるはず。そんな子にアドバイスできるとしたら、「とにかく丁寧に解いてきなさい」ということ。これが本人にうまく伝われば合格してくれるでしょう。
なんだかんだで3年間勉強したね。そんな子が多いでしょう。これを無駄にしてはいけません。3教科の学校も4教科の学校も全体の試験時間は半日ほど。3年間勉強したことを半日で決するのです。当然ですが無駄にしてはいけません。
仮に1教科目が強烈に難しくても、投げやりになってはいけません。こんなことが過去にありました。算数が難しすぎて多くの子が投げ出した。後の教科も一応受けたけれど、もう合格する気がしないので投げやり。いい加減な感じで試験時間終了。ところが、ふたを開けてみるとその年の算数は誰から見ても難しすぎて平均点が異常に低かった。半分なくても全然問題なかった。こんなことがあったのです。
これは、学校としても作問ミスだとは思いますが、皆が同じ条件で入学試験に臨んでいる以上、粘った者が勝ったのです。確かに算数は過去問ほど取れなかったけど、それでも1問でも多く取れるようには頑張った。他の教科でもいつも通り冷静に解ききった。やるだけのことはやった。こういう子たちが合格したのです。
3年間の勉強を簡単に無駄にしてはいけません。絶対に諦めてはいけない。今まで見たことのない一番の粘りを見せてほしいと思うのです。大いに期待しています。
筆者紹介
桜井信一(さくらい・しんいち) 昭和43年生まれ。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。進学塾では娘の下剋上は難しいと判断、一念発起して小5の勉強からやり直し、娘のために「親塾」を決意。最難関中学を二人三脚で目指した結果、自身も劇的に算数や国語ができるようになる。現在は中学受験ブログ「父娘の記念受験」を主宰、有料オンライン講義「下剋上受験塾」を配信中。著書に、テレビドラマ化されたベストセラー『下剋上受験』をはじめ、『桜井さん、うちの子受かりますか』、馬淵教室と共著の『下剋上算数』『下剋上算数難関編』などがある。