多くの高校では学期制が採用されており、4月から夏休みまでを1学期、冬休みまでを2学期、年度替わりの3月までを3学期としている。1年を前後期にわけるセメスター制(2学期制)を採用している学校もあるのだが、近年では「3年0学期」を導入する学校が増えているという。
3年0学期とは、2年生の3学期のこと。生徒たちに受験年次が近づいていることを自覚してもらうために、3学期に入った2年生たちに「きょうから3年0学期に入ります」と宣言する、というわけだ。
進路指導の一環としての非公式な取り組みだが、こうした試みが広がる背景には、かつてに比べて浪人する受験生が減り、現役での大学入学を強く望む受験生が増えているという背景がある。
大手予備校「河合塾」もこうした動向を踏まえて、昨年から高校3年生向きコースのスタートを4月からではなく1月からに繰り上げた。
河合塾主席研究員の近藤治さんは「勉強だけでなく、部活もあるし現役生は忙しいんです。第一志望に受からなかった理由を聞くと『間に合わなかった』が圧倒的。もう2、3カ月あれば間に合ったという受験生は多いんです。それなら前倒しするしかないということで、1月スタートに切り上げました」
近藤さんは、「3年0学期というかたちで早めに進学や受験への意識づけを行う指導は進学校より中堅校と呼ばれる高校で有効なのではないか。試験時期の早い総合型選抜や学校推薦型選抜、いわゆる〝年内入試〟の希望者が多い学校ほど3年ゼロ学期が有効だ」と話していた。