本格的な受験期が迫ってくると、悩むのは併願校選びだ。東大・京大といった最難関校や医学部を志望している受験生のなかには、「第1志望1校で勝負。落ちたら浪人する」という強気の戦略で臨む人もいるらしいが近年は4校程度を受験するのが定番だそうだ。
併願校数は受験生が居住する地域によっても事情が異なるというが、目標校1校と実力相応校2校、そして、すべりどめともいわれる合格確保校1校の4校程度を受験するというのが典型的なスタイルだという。
目標校1校の下に実力相応校が並び、さらに合格確保校がぶら下がる構図から「ダイヤモンド型」受験とも呼ばれる。ただ近年は、少子化などで学校を選ばなければ合格しやすくなっている状況もあり、合格確保校を受けない受験生も増加。「ピラミッド型」になりつつあるという。
併願校が少なければ、それぞれ対策をする必要もなく、受験費用も抑えられるメリットもある。こうした現象は広がる傾向があるという。
保護者世代にあたる団塊ジュニアが受験した時期は受験校数が10校以上にのぼるという受験生も少なくなかった。全般的に受験倍率が高く、「大学生になるため、何がなんでも合格したい」と、多数の学校を受ける受験生が多かったそうだ。
保護者の感覚と受験生の思いにはズレが起きそうだが、河合塾の近藤治主席研究員は「大事なのは一貫性」と話す。
「ご家庭ごとにそれぞれ方針があるのはよいのですが…」としたうえで「自分の好きにしなさい」と放任主義のようなことを言っていたのに受験直前に突然「あそこも受験したら」と言ってみたり、あれこれ言っていたのに肝心なときに「自分の責任で決めなさい」と決断を投げ出したりと「親ブレ」で受験生が困惑するケースが意外に多いという。
近藤さんは「保護者の方がブレてしまうのはよくない。ご家庭の方針をしっかりと伝え、受験生とよく話し合ってほしい」と話していた。