高校授業料などをめぐっては、各自治体の支援には「差」がある。先行する東京都は、実質無償化を実現し、大阪府も段階的に実施予定だが、支援額がゼロの自治体もある。自治体の財政力などで支援に温度差があるのが実情だ。
国は、公立の授業料が実質無償となる11万8800円を年収910万円未満の世帯を対象に支援する。私立についても年収590万円未満の世帯に39万6000円を支援している。
ただ、私立の場合は国の支援額だけでは足りず各自治体が独自に上乗せする。令和6年度から実質無償化している東京都の場合は、都内の私立高の平均授業料である48万4000円に足りない額を支援。対象や額を設け支援する自治体もある。
しかし、茨城▽和歌山▽香川▽愛媛▽佐賀▽熊本▽宮崎▽沖縄-の8県は入学料補助などしているが、上乗せ支援を行っていない。
このため、生徒が住む自治体によって支給額に差が出ている。
文部科学省の担当者は「(支援に差があるのは財政力に加え)自治体によって公立と私立の数の比率が違う点もある」と推察し、「所得制限撤廃も、財源など、さまざまな観点で考えていくべきだ」と話した。
国は令和7年度の当初予算案で、高等学校等就学支援金として4074億円を計上している。(楠城泰介)