人を楽しませたり、やる気を引き出したりするゲームのノウハウをほかの分野で活用する「ゲーミフィケーション」に取り組むセガサミーホールディングス(HD)傘下のセガエックスディー(XD)は19日、来年1月にゲーミフィケーションの普及を目的とした研究所を設立すると発表した。教育分野での取り組みとして、東京学芸大と共同研究を開始する。
ゲーミフィケーションは、ゲームが持つ人を夢中にさせる力を、ほかの分野でも応用することで、利用者に習慣づけなどの行動変容を促して、サービスの安定化や質の向上につなげることができると注目されている。例えば、ウォーキングなどの距離をポイントとして可視化したり、ランキング制にして他人と競争させて健康になるアプリなどが該当する。ポイント還元やキャッシュバックなどの「ご褒美」も手法の一つではあるが、ゲームで遊んだときの達成感や探究心など、利用者の心理を詳細に分析して利用する。教育や健康、ボランティア活動などの領域での活用が期待されている。
セガXDでは、ゲームをプレーすると英語学習につながるゲーム「Risdom(リズダム)」を通信教育大手のベネッセコーポレーションと共同開発。このほかにも防災訓練を脱出ゲームのような体験型イベントとして企画し、参加者を集めるなどの取り組みをしている。
研究所では、ゲーミフィケーションの体系化を進め、市場の実態を調査。活用効果など検証する。セガXDの伊藤真人最高執行責任者(COO)は「(生活習慣の改善といった行動変容は)正攻法ではいかないからゲームの力が役立つ」と期待を込めた。
東京学芸大との共同研究では、児童や生徒の苦手科目の克服や人間関係の円滑化、保護者と教師とのコミュニケーションなどでの活用を模索する。東京学芸大の荻上健太郎准教授は「ゲームの力を活用しながら、みんなが楽しく未来に向かって前向きになれる形にしていく」と話した。(高木克聡)