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女子受験生の選択肢に広がり コロナ禍で低迷の国際系学部が復調か、今年は「文理均衡」に 入試最前線2025

産経ニュース 2025年1月17日 8時0分

経済状況や世相などに大きく左右されやすい受験生の志望学部。景気が悪いと理系人気が高まるといわれるが、ここ数年はコロナ禍での医療従事者の活躍ぶりから医学、看護、薬学といった医療系学部の志願者数が増加。理系強化を打ち出す国策の後押しもあって理系人気が高い「理高文低」が続いていたが、今年は文系が復調する「文理均衡」の様相となっている。

河合塾の第3回全統共通テスト模試の学部別志望動向によると、国公立大前期日程では外国語(前年比109%)、地域・国際(同108%)が大きく伸びたほか、経済・経営・商(同105%)も堅調。私立大でも同様の傾向がみられた。

河合塾教育研究開発本部主席研究員の近藤治さんは「外国語、国際などの文系学部はコロナ禍で長く低迷が続いたが、ようやく底を脱した状態になった。これが文系人気を押し上げている」と話す。

他方、理系についても人気は継続している。人気が高かった医学部だけでなく、これまで女子の比率が少なかった学部で女子志望者が増えているという。昨年までの志望者が少なかったため、増え幅が大きく出ている面はあるものの、女子の国公立大志望者のうち機械・航空(前年比115%)、土木・環境(同124%)などが大躍進。私立大も同様の傾向だった。

不足するデジタル人材を増やそうと近年、学部新設が相次ぐ情報系学部は一部の人気校をのぞき、倍率の高騰が比較的落ち着いた印象だ。私立大では関西大がビジネスデータサイエンス学部を新設するなど、開設ラッシュが続いているため、101%と微増にとどまった。

一方、定員の増員が珍しい難関国公立大でも、この2年で情報系学部の定員が260人増加。全体の定員が大きく増えているが、国公立大の志望状況は前年比94%とやや減少しており、倍率の低下が見込まれる。ここでも難関大の情報系学部で女子の志願者増が顕著だという。

近藤さんは「女子の選択肢が広がり、難関やこれまで挑まなかった学問分野へのチャレンジが増えている」と話していた。

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