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所得制限撤廃で対象者2倍に 大阪市の塾代助成、現場で混乱も

産経ニュース 2024年10月3日 21時20分

大阪市内に住む小学5年~中学3年生の習い事や塾にかかる費用のうち、月額1万円を上限に市側が負担する「市習い事・塾代助成事業」の所得制限が、今月から撤廃された。対象の子供は2倍の約10万人に増加した。何かとお金がかかる子育て世帯の多くは制度改正を好意的に受け止めたとみられるが、利用申し出の急増で混乱も生じている。

「助成制度を利用する家庭の児童・生徒が5倍に増え、一気に忙しくなった」

大阪市内の進学塾で講師として勤務する男性はこう明かす。小5から中3までの児童・生徒が150人ほど通い、9月分までの利用は20~30人ほどだったが、10月分の利用が急増した。

この塾で制度を利用するためには、同市が発行した助成カードを利用の前月中旬までに塾側に提示しなければならない。10月分の手続きを済ませるため、9月の期限前には事務室に子供らが殺到。男性は「講師が処理に追われ、授業にも影響が出かねなかった」と漏らす。また別の塾では、助成カードの利用方法が分からない親からの問い合わせが相次いだという。

同市の助成事業は、試行を経て平成25年12月にスタートした。もともとは中学1~3年生が対象だったが令和5年度には小学5、6年生にまで拡大。進学塾やスポーツ、芸術系の教室など約4200の事業者で利用できる。

そして9月分の利用までは、扶養親族の人数などに基づき、所得制限が設けられていた。両親と子供1人の3人家族で、ほかに扶養親族がいない場合、親の合計所得が年間360万円未満の世帯が対象だった。

ただ、同市の調査によると、助成対象の子供約5万人のうち、今年1月時点で同市への利用申請を済ませたのは約3万1千人。教育関係者は「助成制度の利用で、その家庭のおおよその所得額が周囲に分かってしまう可能性がある。そのため、申請を控えたケースも少なくなかった」と説明する。

10月分の利用から所得制限が撤廃され、対象の子供は約10万人に増加。家庭の経済事情が周囲に漏れるという懸念もなくなった。

対応に追われたという塾講師の男性は「事務的な混乱はあるものの、所得制限の撤廃を機に塾へ通う子供が増えてくれればありがたい」と話している。(木ノ下めぐみ)

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