数学の知識を活用して社会貢献を行う高度なIT人材を育てようと、日立システムズ(東京)が独自の教育プログラムを作成し、小中高校生向けの出前授業などに取り組んでいる。人工知能(AI)をうまく使って経営改善を図ったり、統計学を用いてデータを読み解いたり。現役エンジニアらが現実のビジネスに即した実践的な指導を行う。
一般に「社会に出れば使わない」と揶揄(やゆ)されがちな数学だが、「AIやビッグデータなどの先端技術を扱い、革新的なサービスを生み出すには数学的な知識が欠かせない」と同社の佐藤佳彦担当部長はいう。
出前授業を行うのは佐藤さんのほか、3人の専従メンバーと講師となる現役エンジニアら計7人。プログラムは3種類あり、小学生向けにはAIやセンサーを組み合わせたロボットカーを作り、ゴールを目指す「プログラミング授業」。中高生向けにはAIの基礎技術を説明した後、それを応用しコンビニ店の売り上げをどう改善するかを考える「AI授業」を行う。
高校生向けは「データサイエンス授業」。テーマパークを題材に、利用客数や顧客満足度などのデータを標準偏差などを用いて分析し、パークの改善点を洗い出すという。
現在のプログラムになったのは約10年前。昨年度は単発のイベントや学校への出前授業などで計212人が参加した。授業後に質問攻めにあうことも多いといい、「まずは興味を持ってもらい、進路を決めてもらえれば」と佐藤さんは話している。