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中学受験国語の文章を読んだことありますか? 「おえっ」となること間違いなし 桜井信一 桜井信一の攻める中学受験

産経ニュース 2024年9月28日 10時0分

中学受験、攻めの姿勢で臨むことができているでしょうか。なんだかモヤモヤしながらも解決法を探すことなく月日が過ぎていることはありませんか。

攻めあぐねているといえば「国語」。多くの人が国語に悩むのです。確かに中学受験の国語の説明文・論説文は小学生が読むには難解すぎます。出典をよく調べてみるとわかるのですが、元の本が小学生を対象としていないのです。高校生や大学生、または大人が読むような内容の文章にふりがながふってあるだけ。

極端に難しい言葉には注釈がついていますが、それでも知らない言葉がいくつも残ります。そして、厄介なことにまるで興味のないことが書かれているのです。2、3行読んだら「おえっ」となること間違いなし。それでも我慢して読まなければいけない。実は、この時点でもう落とし穴にはまっています。

「読解」とは、読んで理解すると書きます。そんな難しい文章を最初から読んで理解できるはずがない。それを正面突破しようとしている小学生が多いのが実状でしょう。そこは無謀に攻めてはいけないのです。

中学受験の説明文・論説文は入試レベルだと3千字程度になります。これを何分で読むのが理想でしょうか。大体1分間に5百字読めれば十分。3千字だと6分程度になります。やってみるとわかりますが、1分間に5百字は結構楽勝です。

でももっとかかる理由、それは、読むだけではなく、理解しようとしているからです。読んでいるうちに目で追っているだけになっていることに気づき、「ダメだダメだ、全然理解できてない。もう一度ここから……」なんて頭の中で反省し、同じところを二度三度読むことになる。

真面目な子、何とか国語で点を取りたいと攻めている子ほどこうなります。そんなことをすれば読み終わる頃には10分は過ぎているでしょう。しかも、内容は頭に入っていない。

そこで親が「速読術」なんて魔法を探し始めます。もうこの時点で攻める方向を間違っています。速読しても、理解はできていませんから——。

国語の文章は、一度目読む際はさっと流すのです。このさっと流すというニュアンスが小学生にはなかなかうまく伝わりませんが、まあ簡単にいうと適当でいいのです。最初に何を示してあり、もしくは問題提起してあり、途中でいくつかの具体例が書いてある。どこかで展開が変わり、まとめに何が書いてある。あまり言いたいことはわからないけれど、まあ配置はわかったぞと、こんな感じで良いのです。これなら1分間に5百字は読めるはず。もっと短い時間で読めるかもしれません。

そして設問に入ります。実は、本文は難しかったけれど、この設問を1つ1つクリアしていく作業こそ、読解のサポートとなるのです。つまり、「読解」とは、本文を読み終えたときに理解するのではなく、最後の問いを解き終えたときに読解が終わるのです。ここに気づかず、本文を必死に読解しようと頑張っている子どもたちがいるのです。これを助けてやらなければいけません。

問いの1は接続語を考える問題が多いですが、本文にはすごくたくさんの接続語があるのにどうやってそこを選んでいるのでしょうか。ひょっとして、勘違いしやすいところを選んで出題しているなんて思っていませんか?

そんなことはありません。接続語を考えるには、その前後を熟読しなければ見つけることができません。順接なのか逆接なのか、はたまた例示なのかと考えるわけです。実は、最初にここをよく読んでねというところに、接続語の問題を落としてあるのです。明らかな読解のサポート第一弾なのです。

さらに言えば、筆者の考え方を問う問題の選択肢の答えが「これだ」とわかったら、その選択肢の文章は本文を言い替えた文章になっている解説文だということに気づいていますか。こんなことを塾で教わっているでしょうか。きっと子どもたちは知らないはず。だから攻めあぐねるのです。

国語には、選択肢問題の解き方、記述の書き方、悩みどころはたくさんありますよね。選択肢問題はあと2つのところで迷うなんて言っていませんか。記述は、模範解答を写すだけで終わっていませんか。いずれも勉強方法がわからないからそうなるのです。

10月から「桜井信一の下剋上受験塾」というオンライン講座を通して、多くの子どもたちに国語の学習法を伝えます。4年5年6年の四谷大塚の国語を使って、少しずつ水がしみこむように読解していく設問の解き方を説明します。私は国語の作問者の立場にたって、国語を研究し克服しました。いまではもう解答が透けているようです。国語に悩む方は、このあたりですっきりしてしまいましょう。攻めるってこういうことだと気づくはず。論説文、随筆文、物語文、詩、短歌、俳句、なんでも来い!

筆者紹介

桜井信一(さくらい・しんいち) 昭和43年生まれ。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。進学塾では娘の下剋上は難しいと判断、一念発起して小5の勉強からやり直し、娘のために「親塾」を決意。最難関中学を二人三脚で目指した結果、自身も劇的に算数や国語ができるようになる。現在は中学受験ブログ「父娘の記念受験」を主宰、有料オンライン講義「下剋上受験塾」を配信中。著書に、テレビドラマ化されたベストセラー『下剋上受験』をはじめ、『桜井さん、うちの子受かりますか』、馬淵教室と共著の『下剋上算数』『下剋上算数難関編』などがある。

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