入試シーズンが本格化するなか、受験生たちの緊張感も一層高まっている。入試は受験生の進路を左右する大きなイベントでもあるが、昨年秋、大学側のミスで予定された入試が行われなかったとして、受験生全員が合格するという出来事があった。龍谷大学が昨年10月に実施した国際学部国際文化学科での総合型選抜入試の2次試験。受験生がプレゼンテーションを行うという試験方式だったが、事務職員と面接官の連係ミスで、面接官が受験生のプレゼンテーションを聞くという受験方式を理解しないまま、聞き忘れたという。
2次試験には15人が受験。大学は当初出した合格者に加え、11人を追加合格とし、2次試験を受験した全員合格とする措置をとった。
大学によると、ミスは昨年10月19日に行われた英語での面接であった。受験生1人につき、面接官2人が対応し、決められたテーマに沿って事前に提出した200~400単語のエッセーについて受験生がプレゼンテーションし、面接官と英語で質疑応答を行うという試験で、面接時間は合計10分程度だった。
入試要項にプレゼンを実施する旨が記載されていたにも関わらず、当日は面接官がプレゼンを飛ばして突然質疑へ。受験生は困惑しただろうが、面接官は気づかず、「適切に入試を実施できた」と思っていたという。当初は15人中4人に合格を通知した。
事態が発覚したのは、11月2日の合格発表から10日ほどしたときのこと。受験生の在籍する高校から大学入試部へ「生徒からプレゼンがなかったと聞いているが実施内容にミスはなかったか」と問い合わせがあったのだ。
事実確認を進める中で、試験当日の19日午前に面接官と国際学部の事務職員が打ち合わせし、入試要項や試験の実施要領を面接官に配布する手はずだったが、経験が浅く、初めての担当だった職員が、資料の配布を失念したことが判明した。
プレゼンを伴う英語面接の選考は龍谷大学では10年ほど前からあり、面接官を務めた同学科の50~60代の教授2人は面接官の経験もあったが、英語面接はほかの入試でもあり、面接官もほかの入試方式と混同。確認もしなかった。
大学側は11人を追加合格とし、14日夜以降、受験生と在籍校に連絡。突然の合格連絡に喜ぶ人もいれば複雑そうな様子の人もいたという。「大学の非常に重要な部分なので、改めて気を引き締めて当たってほしい」と苦言を呈する高校もあったという。
大学の広報担当者は「職員が不慣れで教授との意思疎通が十分にできなかったことが原因。システマティックに二重三重のチェックができるよう体制を整えていく」としていた。