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国語は正解が正解を呼び加速する科目 「ノー勉」の子は無意識にやっている 桜井信一 桜井信一の攻める中学受験

産経ニュース 2024年10月5日 10時0分

中学受験の受験科目に社会がないことはあっても、算数・国語がないってことはありません。理科もだいたいの学校にはありますが、算数・国語に比べて配点が低いことがあります。例えば、算数100点、国語100点、理科50点、社会50点のように傾斜配点になっている学校が意外と多くあるのです。

ということは、算数と国語のウエイトが高いということなのに、「国語はノー勉だから」という話、聞いたことがありませんか。国語はほとんど勉強せず高い点数が取れるというのです。文法や漢字は授業を聞いている程度で十分で、国語の読解は「フツーに読んでフツーに答えるとマルになるよ」と言うのです。これは幼い頃からの読書量の差か?と思ったら、どうやらそうでもないのです。

私が知っている範囲での「国語ノー勉」の子には共通点があります。それは、理科も社会もかなり勉強量が少ないということ。「えっ?じゃあ、算数しか残らないじゃん!」という無茶苦茶な話になるのですが、実際にそうなのです。

また、国語ノー勉の子は大学受験時に文系に進んでいることが多いように思います。私の知っている範囲の子は今のところ皆文系です。つまり、もともと数学はあまり得意ではないのですが、国語はノー勉で理社にも時間をかけない分、算数に時間を割いていると思うのです。

国語ノー勉の子が理科・社会を勉強している姿を見ると、必死に勉強しているこちらがばかばかしくなります。教科書を開き、瞳で「カシャッ!」、次のページも「カシャッ!」とスクリーンショットをしていきます。「おまえの瞳はスマホかっ!」と言いたくなるほどです。ここまで聞くと暗記力の差と思うでしょう?

違うのです。強い興味の差です。見つめているその先にあるものに強い興味を持つことができる。その瞳は教科書を眺めていないのです。興味のあまり、まさにスクリーンショットをしているのです。

こういう子が国語の文法や漢字を勉強すると、そりゃノー勉になります。「へえ、この漢字ってりっしんべんなんだあ、カシャッ」という具合に勉強するものだから、漢字を10回書いたりはしないのです。

さらにこういう子が国語の文章を読むと、強い興味から本文のどのあたりにどんなことが書いてあったか記憶しています。それが問いを考えるときの素早さになっているのです。ここからが凄い。問一の答えを記憶し、問二に進む、問二までの答えを記憶し、次の問いに進む。まさに私が国語読解記述講座で言っている「国語は正解が正解を呼び加速する科目」を教わらずに実践してしまうのです。

みなさんはどうでしょう。算数ができる子と国語ができる子、どちらが頭が良さそうに見えるでしょうか。何となく、算数オリンピック=天才というイメージもありますから、算数と答える方が多いでしょう。でも実際は、国語ノー勉の子は国理社と3つを陥落しているのです。入学試験はまさに算数勝負。その算数で半分も取れば合格してしまうのです。明らかに受験に有利と言えるでしょう。

では、この子たちのようになる方法、あるでしょうか。ずいぶん考えましたが、結論からいうとありません。iPhoneの新機種みたいな話ですから、買い換えることができない頭脳というのは、どうしようもないのです。

ところが、この子たちをヒントにして、国語をできるようにすることなら可能です。なるほど、問二の答えを連れて問三を解くんだな、問四までの答えを連れて問五を解くんだな、バトンをイメージなのかな、というように、国語ノー勉の子が無意識でやっていることを実践するのです。練習するのです。

気付いたでしょうか。国語ノー勉の子は「無意識」なのです。つまり、国語が得意な人、ノー勉で先生になった人に教わっても国語ができない悩みは一向に解決しません。「どうしてわかってくれないかなあ」となるのです。

国語が得意な人の教え方。よくあるのが文章を咀嚼して説明する。難解な文章をまるで絵本のように説明する。「うん、すごくわかるよ!いい先生だね」となる。

こんなこと、当たり前。国語が超得意な有名な予備校講師が大勢の生徒の前で国語の講義をします。何パーセントの生徒が国語ができるようになったでしょうか。国語は「国語が苦手だったけどできるようになった人」に教わらないとできるようにならないのです。ん?誰のこと?

筆者紹介

桜井信一(さくらい・しんいち) 昭和43年生まれ。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。進学塾では娘の下剋上は難しいと判断、一念発起して小5の勉強からやり直し、娘のために「親塾」を決意。最難関中学を二人三脚で目指した結果、自身も劇的に算数や国語ができるようになる。現在は中学受験ブログ「父娘の記念受験」を主宰、有料オンライン講義「下剋上受験塾」を配信中。著書に、テレビドラマ化されたベストセラー『下剋上受験』をはじめ、『桜井さん、うちの子受かりますか』、馬淵教室と共著の『下剋上算数』『下剋上算数難関編』などがある。

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