福島県喜多方市内の民家のこたつに入り込んでいるところを発見されたクマ(体長約90センチ)を巡り、山間地へ逃がす対応をとった市に対し、賛否両論の電話が入っていることが25日、分かった。市の担当課は「殺処分も検討の余地はあったが、今回については(放獣で)事足りるという判断だった」としている。
銃が使用できないエリア
今回のクマは23日夕、民家のこたつに頭を突っ込んでいるところを帰宅した住人男性が発見した。24日午前に市や猟友会が花火などで追い払ったが、近くの小屋に逃げ込んだ。同日午後3時ごろ、専門家が麻酔の吹き矢で眠らせ、人気のない山に放たれた。
市の有害鳥獣対策室によると、一連の対応を巡り、25日朝から10件ほど電話があった。市内在住者かどうかなどは不明だが、「殺さなかったのはよかった」など称賛の意見と、「また帰ってくるに違いない。なぜ殺処分しなかったのか」といった批判の意見があった。割合は、ほぼ半分だったという。
対策室の担当者は今回の措置について、クマが逃げ込んだ小屋は民家と50メートルほどしか離れておらず、「また民家に戻る可能性があった」と説明。殺処分も検討したが、「現場の総合的な判断」で、麻酔後の放獣を選択したという。仮に殺処分する場合、銃は使用できないエリアで、専用機材による電気ショックなどの対応をとる必要があったという。
民家の茶の間には食べ物が散乱しており、冬眠場所を探せずに迷い込んだ可能性がある。
現場周辺では、今月2日にも空き家にクマが入り込み、花火で周辺の山に追い払ったほか、24日夕にも近くの県道でクマ1頭の目撃情報があった。