国連総会が12日(日本時間13日)、持続可能な湖や沼などの適切な管理を促進するため、8月27日を「世界湖沼の日」に制定する決議を採択した。日本最大の湖「琵琶湖」を抱える滋賀県などが記念日として「世界湖沼デー」の制定を呼びかけていた。同県の三日月大造知事は「世界に対して湖沼の重要性を訴えてきた県として大変うれしく、励みに思う」と歓迎した。
8月27日は1984(昭和59)年に大津市で開かれた第1回世界湖沼会議の開会日にあたる。記念日制定は滋賀県としての悲願だった。
決議は、世界湖沼の日の制定をはじめ、世界湖沼の日の事務局は国連環境計画(UNEP)が担う▽必要な経費は各国官民の自発的な拠出による▽世界各国や国際機関が湖沼の重要性を認識し、協働して湖沼や生態系を持続可能な形で維持・保全・再生する―などが主な内容となっている。
滋賀県は昭和55年に琵琶湖の水質汚濁の原因となる窒素やリンの排出規制を定めた「琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」(琵琶湖条例)を施行。同条例の施行1周年を記念し、翌年から7月1日を「びわ湖の日」に定めた。59年には大津市で第1回世界湖沼会議を開催するなど、これまで地道な取り組みを続けてきた。
さらに、湖沼を世界の水を巡る議論の主要課題へ位置付けることを目的に、世界湖沼デー制定を提唱。昨年11月にハンガリーで開かれた世界湖沼会議や、今年5月にインドネシアで開かれた世界水フォーラムでも賛同を呼びかけてきた。
三日月知事は13日、記者団の取材に応じ、「琵琶湖岸を散歩中に連絡をもらった。地球レベルで水環境問題における重要な採択となった」と意義を強調。今後はびわ湖の日から世界湖沼の日までの期間中、湖沼の重要性をアピールする運動などを集中的に展開することや、湖沼を抱える全国の自治体との連携・協議を検討する考えを表明した。
また、これまでのような水質問題だけでなく、近年深刻化している気候変動問題などにも触れ、「(制定採択が)今日的な課題についても再認識される機会になれば」と期待を寄せた。