発がん性との関連が疑われる有機フッ素化合物「PFAS」について、政府は水道法上の「水質基準」の対象に格上げし、水質検査や濃度が基準値を超えた場合に水質改善を義務化する方針を固めた。政府が先月公表した水道水の含有量調査で、対象の水道事業者のうち4割が法的義務がないことを理由に検査実績がなかったことも考慮し、管理強化が必要と判断した。
環境省は専門家会合で水質管理強化に向けた議論を進めており、来春にも結果を取りまとめる方針。政府は現行の努力義務から法的拘束力のある「基準」に格上げし、PFASについても水銀やヒ素などと同様の対応を水道事業者に求める。
国内では現在、飲用水に含まれるPFASの代表物質、PFOSとPFOAの合計含有量が1リットルあたり50ナノグラム(ナノは10億分の1)とする暫定目標値がある。政府が先月公表した調査結果によれば、給水人口5千人超の上水道や小規模の簡易水道などを管理する水道事業者のうち、令和2~5年度に目標値を超えたのは14事業。6年度は9月末時点でゼロだったが、調査対象の3755事業のうち1528事業が検査実績がなかったり、未回答だったりした。
業界団体の日本水道協会が公表した令和4年度の水道統計でも、調査した1503カ所の浄水施設のうち1カ所で目標値を上回る数値を検出した。