東京・日比谷の千代田区立日比谷図書文化館で特別展「実録 桜田門外の変」が開催されている。当時の史料や事件を描いた絵画などをもとに、幕末の日本社会を大きく揺るがした暗殺事件の実像に迫る。また、160年以上の間に、事件がどのように伝承されてきたかにも光を当てている。
1860(安政7)年、当時の江戸幕府大老、井伊直弼が江戸城外桜田門付近で、尊王攘夷派の水戸藩の浪士の襲撃を受け殺害された。幕府最高職に就く井伊の暗殺は世間に衝撃を与えるとともに、250年以上続いた江戸時代の終焉につながる歴史的なターニングポイントの一つでもある。
特別展は、襲撃前に付近の愛宕山にて浪士たちが集結し、決起会を執り行う様子や、当時の江戸城周辺の様子を描いた絵画などが臨場感を演出。また、襲撃に関わった浪士が幕府政治に対して抱いていた思いが記された書物など、全国各地から数多くの史料が集められた。
特別展に携わった同館文化財事務室の学芸員、篠原杏奈さんによると、区には事件に関する史料があまり残されておらず、「史料を保存している全国のさまざまな機関に協力を仰いだ」という。「書物や絵画を通じて直後から現代に至るまで事件がどのように伝わったかをたどれる」ようになっていて、「情報を正しく伝えることの難しさや、脚色されながら歴史が伝わることの面白さを感じていただけたら」と呼びかけた。
来月24日まで、入場料は一般500円など。毎月第3月曜休館。問い合わせは同館(03・3502・3340)。(宮崎秀太)