平安時代から宮中に伝わる行事の一つで、室内の調度や敷物などを季節に応じて変える「更衣(ころもがえ)」の作業が京都御所(京都市上京区)で行われた。「宮廷文化の紹介」をテーマに27日から秋の特別公開が行われるのを機に、その作業を初めて報道関係者に公開。特別公開期間中は、人形を使って平安時代の更衣を再現した様子が見学できる。
更衣は、新しい季節の到来を告げる風物詩で、旧暦の4月1日と10月1日に行われてきた。現代の衣替えのルーツとされる。
11月12日に宮内庁京都事務所の職員5人が、天皇の居室である「清涼殿」で作業を実施。天皇が休憩する「御帳台(みちょうだい)」(縦横2・2メートル、高さ2・5メートル)の四方にかけられた布を、鶴などが描かれた夏装束から朽れた木の模様の冬装束に替えた。布はかつて正絹だったが、現在は虫食いを防ぐために絹に似せたナイロン製という。御簾(みす)の内側の布「壁代(かべしろ)」も冬装束に変更し、約1時間半にわたる作業が終了した。
NHK大河ドラマ「光る君へ」では御所のシーンが随所に登場し、関心が高まっている平安時代の様子。当時は天皇の秘書部門の「蔵人所(くろうどどころ)」や行事の設営を担う「掃部寮(かもんりょう)」の役人が更衣を担当したという。
宮内庁京都事務所首席主殿長の福德大亮さんは「千年以上前から行われている行事が現代も受け継がれていることを知っていただけたら」と話した。
秋の特別公開は27日~12月1日(午前9時~午後3時20分最終入門、最終退出は午後4時)で、申し込み不要・参観料無料。詳細は宮内庁京都事務所ホームページ。(田中幸美)