Infoseek 楽天

考古学を通した「ファッション」に焦点 京都市考古資料館で特別展

産経ニュース 2024年8月22日 11時50分

京都市内の遺跡から出土した遺物のうち、ファッション性の高いものに焦点をあてた特別展示「ファッションの考古学」が京都市考古資料館(京都市上京区)で開催されている。縄文時代から江戸時代までの約300点の展示品を通して、時代ごとの流行の変化などを分かりやすく紹介している。

展示をアクセサリー(装飾品)▽モード(衣服)▽メイクアップ(化粧・化粧道具)-に分類。アクセサリーでは、縄文時代の腕輪とみられる上里遺跡出土の輪状土製品や古墳時代のイヤリング「耳環(じかん)」に始まり、江戸時代の簪(かんざし)や武士の刀の柄を装飾した目貫などがデザイン性が高く、目を引く。

また「笄(こうがい)」にも注目したい。もとは武士の身だしなみを整える道具として刀の鞘に付けられたとされるが、室町時代以降は性格が変化。意匠を凝らした芸術品の登場とともに、簪のような女性の髪飾りへと使用法が代わっていく様子が、展示品からうかがえる。

鎧(よろい)も面白い。下京遺跡から出土した小札(こざね)は鎌倉時代の製作。小札は漆を塗った短冊状の板で、縅毛(おどしげ)と呼ぶひもを通し、つなぎ合わせ甲冑に仕上がる。戦いの中にも華やかに見せる工夫が施され、当時の武士の品格がしのばれる。このほか上流武士が着用した大鎧のうち、弓矢による攻撃から肩や上腕部を守った大袖などの復元品や絵画資料などと、出土遺物との比較も興味深い。同資料館の山本雅和館長は「考古学から分かるファッションの世界を体感してほしい」と話している。

11月24日まで(原則、月曜日休館)。今月25日、9月22日、11月4日(いずれも午後2時から)は山本館長が展示を解説する。入館無料だが、展示解説では千円が必要(先着10人)。問い合わせは同資料館(075・432・3245)。(園田和洋)

この記事の関連ニュース