京都・祇園祭の前祭(さきまつり)のハイライトとなる山鉾(やまほこ)巡行を迎えた17日、鶏鉾が予期せぬトラブルに見舞われた。出発から約15分後、後ろの車輪の部品が割れて外れ、巡行を断念した。京都市文化財保護課もこうしたトラブルは「記憶にない」としている。
四条通での「くじ改め」の直後、車輪の外周部材の「大羽(おおば)」の1枚が割れて外れた。けが人はなかった。
金属の器具で大羽を仮止めする応急処置を経て、巡行路をゆっくり引き返した。四条通では、後に続く山鉾が鶏鉾を追い抜いていった。
会所に戻る際の交差点では辻回しはせずに、大きなカーブを描くように進み、無事会所に戻った。集まった観客からは大きな拍手が起こった。
鶏鉾保存会の坂本篤史代表理事(56)は「こんな経験は初めてだが、けが人もなく無事に戻ることができてよかった。工務店に車輪を引き渡し原因を調べる」と話した。
鶏鉾は16日、使用していない車輪2輪や部品を、後祭の巡行に参加する鷹山保存会に譲ったばかりだった。(田中幸美)