中世に学問所として興隆した天台宗の古刹(こさつ)で、有名な戦国武将が宿営したことでも知られる成菩提院(じょうぼだいいん)(滋賀県米原市)で11月24日、武家文化に詳しい名古屋城調査研究センター(名古屋市中区)の原史彦氏が「関ケ原合戦と成菩提院制札(せいさつ)」と題して講演する。
講演は今年3月、同寺に伝わる「織田信長禁制札」と「丹羽長秀・羽柴秀吉連署禁制札」、2枚の「小早川秀秋禁制札」-の計4枚の制札が県指定文化財に指定されたのを機に企画された。
制札は、軍勢などの乱暴狼藉(ろうぜき)を防止するため、有力寺社などが権力者に発給を要請した掲示板で、往来の多い路傍や門前に立てられた。4枚の制札は信長らが同寺に宿営したことを示唆するものという。
このうち、小早川秀秋の制札は「慶長五(1600)年九月」に発給された。秀秋は同月15日の関ケ原合戦で石田三成率いる西軍から徳川家康の東軍に寝返り、勝利を決定づけたとされるが、どの時点から東軍に通じていたかなどの真相は謎に包まれている。
原氏は関ケ原に近い同寺に残る制札などを手掛かりに、戦いに至る秀秋の動きを読み解く。
講演は午前10時~正午。先着80人で、参加費は500円(別途入山料500円が必要)。午後1時からは、戦国時代ファンらによる「秀秋ミーティング」も開催される。申し込みは成菩提院の公式X(旧ツイッター)から。問い合わせは成菩提院(0749・57・1109)。