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「囲碁界の流れ変わる」 一力遼棋聖の国際棋戦・応氏杯優勝に歓喜の声

産経ニュース 2024年9月8日 21時16分

囲碁の国際棋戦「応氏杯世界選手権」で、一力遼棋聖(27)=天元・本因坊=が優勝を果たした8日、パブリックビューイング(PV)が行われた日本棋院東京本院(東京都千代田区)では、約150人の囲碁ファンが熱戦を見守った。「ここから日本囲碁界の流れも変わる」。19年ぶりとなる日本勢の快挙に、日本囲碁界の復権を期待する声が上がった。

決勝で対戦した中国の謝科九段(24)は、一力棋聖が前回の応氏杯準決勝でストレート負けを喫した因縁の相手。この日も一時劣勢となったが、一力棋聖は上辺の攻防から粘り強い逆転劇を見せ、会場から大きな拍手が起きた。

囲碁仲間と応援に訪れた東京都江戸川区の小学5年、金子輝(ひかる)さん(11)は「中国や韓国の強い棋士がいる中での優勝はすごい。日本も世界と対等に戦えると一力先生が示してくれた」と声を弾ませた。

応氏杯は持ち時間を使い切ると、相手に2目のコミ(ハンデ)を差し出すことで時間を延長できるルールを採用している。PVで大盤解説を務めた張栩九段(44)は「前回は謝科さんにコミの分で逆転される悔しい負け方だった」と振り返った。また、自身が2005年に制したLG杯以来となる日本棋士の躍進に「実績の面でも自分を超えてくれた。スーパースターとして囲碁界を盛り上げてほしい」と顔をほころばせた。

一力棋聖は河北新報社の創業家に生まれ、早稲田大卒業後に同社に記者として入社。今年3月には取締役にも就任した。師匠の宋光復九段(60)は「泣き虫だった少年の夢がかないました。学業、経営との両立の中で多くの試練を乗り越えての世界一、正に立派です」とコメント。

日本棋院の武宮陽光理事長(47)は「日本棋院創立100周年の記念すべき節目の年に、ファンの悲願であった国際棋戦優勝を成し遂げられたことは大変感慨深い」とたたえた。(村嶋和樹)

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