天皇、皇后両陛下が4月、先の大戦で激戦地となった硫黄島(東京都小笠原村)を日帰りで訪問される方向で検討が進められていることが22日、関係者への取材で分かった。同月上旬を軸に調整。戦後80年の今年は広島、沖縄、長崎の訪問も検討されており、節目の年に各地で犠牲者の慰霊に臨まれる見通し。
在位中の上皇さまは戦後50年の平成7年、上皇后さまとともに原爆が投下された長崎と広島、地上戦で多くの犠牲者を出した沖縄を相次いでご訪問。これに先立ち、6年2月に自衛隊機で硫黄島を訪れ、2万人余りの戦没兵を慰霊する国の「天山慰霊碑」と、都が日米すべての戦死者の霊をまつった「鎮魂の丘」で拝礼された。天皇陛下は昨年6月の記者会見で、上皇ご夫妻の平和を大切に思うお気持ちを「しっかりと受け継いでまいりたい」と述べられていた。
広島、沖縄のご訪問は夏を軸に調整。また、9月には両陛下の恒例の地方ご公務「国民文化祭」が長崎県で開催される予定で、それぞれ慰霊のほか、先の大戦の記憶の継承に取り組む関係者との交流が想定されている。