困難な時に助け合ってきた「雨天の友」。そうした日本とトルコの絆の歴史が、次の100年に向かって語り継がれていくことを願う-。
3~8日の日程で、トルコを公式訪問された秋篠宮ご夫妻。現地で開催された外交関係樹立100周年の記念式典で秋篠宮さまはこう述べ、関係の深化に期待を寄せられた。今回のご訪問はまさに、両国の歴史をたどり、次代へつなぐものとなった。
秋篠宮ご夫妻はトルコ滞在中、両国の友好関係の契機となった「エルトゥールル号」に関する展示などをご覧に。また、震災など日本の危機に手を差し伸べてきたトルコの関係者と面会された。
地域に根ざし、確かな友好を築いてきた皇室の活動の現場にも足を運ばれた。滞在最終日の7日、ご夫妻は三笠宮さま(平成28年薨去)と長男の寬仁親王殿下(24年薨去)、その長女であられる彬子さまと、皇室が3代にわたり発掘を支援してきた遺跡をご訪問。出土した遺物を、現地の女性が丁寧に整理する様子に関心を示されていた。40年近く続く発掘調査を支えてきた人材育成の取り組みにも触れ、秋篠宮さまは関係者に「時間を掛けなくては駄目ですね」と話されたという。
次世代との交流も重ねられた。ご夫妻は大学で日本語を学ぶ女性の「二国間の架け橋になる」というスピーチに耳を傾け、同じ「地震大国」である日本に倣い、防災教材の開発に取り組む子供たちと懇談された。
両国の足跡をたどるだけでなく、未来に紡がれる「絆」の道しるべとなるような人々との出合いの場でもあった、今回のご訪問。真剣なまなざしで向き合われたご夫妻のお姿は、日本という国の印象とともに、現地の人々の記憶に鮮やかに刻まれたのではないだろうか。(吉沢智美)