上皇さまは23日、91歳の誕生日を迎えられた。10月に右大腿(だいたい)骨を骨折して手術を受けられた上皇后さまを気遣いながら、赤坂御用地にあるお住まいの仙洞(せんとう)御所(東京都港区)で穏やかな日々を過ごされている。ハゼの研究では従来のテーマを深めつつ、関心の対象を広げられている。
宮内庁によると、上皇さまは今も新聞やテレビのニュースなどを通じ、国内外の動向を注視されている。今年は特に、元日の地震で大きな被害を受け、9月に記録的な大雨に見舞われた能登半島の人々の生活を案じられていたという。
5月には、戦時中に疎開した栃木県日光市を上皇后さまと訪ねられた。終戦の日など戦争にまつわる日の黙禱(もくとう)を欠かさず、朝食後には、沖縄の歴史を記した「戦争と沖縄」(池宮城秀意著)を音読されるなど、その日常は「今も戦争のご記憶と深くつながっている」(側近)という。
10月、上皇后さまが骨折で入院された際にはたびたび見舞いに訪れ、退院後はリハビリを見守られた。最近では、つえを使わずに歩けるようになるまで回復された上皇后さまと、お二方での散策も再開されている。
ハゼに関する過去の論文の見直しを続ける中で近年、江戸時代に長崎を訪れた医師、シーボルトが国内で採集したハゼ類の標本にも関心を示し、資料を収集されているという。研究を支える関係者は「疑問が生じたものは、必ず確かめようという研究者としてのご姿勢は変わらない」と話す。