Infoseek 楽天

東京・立川の昭和天皇記念館 リニューアルに向けクラウドファンディング開始

産経ニュース 2024年7月2日 18時50分

昭和改元から100年を迎えるのを前に、昭和天皇ゆかりの貴重な品々を展示する「昭和天皇記念館」(東京都立川市)が大規模リニューアルを計画している。老朽化や来館者の減少などが背景にあり、2日に資金調達のためのクラウドファンディング(CF)を開始。担当者は「若い人たちにも、昭和という時代を理解してもらえる記念館にしたい」と意気込む。

激動の生涯たどる

記念館は、昭和天皇の事跡の伝承を目的として平成17年11月、募金により国営昭和記念公園内に開館。「昭和100年」を迎える来年、記念館も開館20周年を迎える。

延べ約550平方メートルの展示スペースでは、25歳で即位し、戦前・戦中・戦後という激動の時代を生きた昭和天皇の87年の生涯を写真やゆかりの品とともに紹介している。

天皇の公務「ご執務」用の机や、訪米の際に贈られ、愛用していたミッキーマウスの絵柄の腕時計の実物も展示。海洋生物・植物の分類学者としても知られる昭和天皇が研究に取り組んだ部屋を、実際に使用していた書架や顕微鏡などを用いて再現したコーナーもある。いずれも、ここでしか見られない貴重な品ばかりだ。

来館者5分の1に

開館当初は来館者数が年間5万人を超えることもあったが、昭和という時代が遠ざかるにつれ、来館者数は減少。新型コロナウイルス禍の影響もあり、近年は年間1万人以下と落ちこんでいる。

同館の梶田明宏副館長は「現在の展示は、昭和天皇を知らない世代には伝わりづらい部分がある」と指摘。リニューアルでは、古くなった設備の更新とともに、プロジェクションマッピングによる大型映像などの導入を検討している。

2日に開始したCFの目標金額は、2千万円に設定。記念品や昭和天皇の「お言葉」をまとめた冊子などを返礼品としており、9月末まで実施予定だ。CFとは別に、寄付も呼びかける。

梶田氏は「昭和には、戦争に向かっていってしまった時代と、焦土と化した国土を国民一丸となって再建した時代があり、その中に昭和天皇もいた。昭和を知ることは未来の日本につながっていくと思う」と話す。

CFと寄付金については、昭和聖徳記念財団のホームページに詳細を掲載している。問い合わせは同財団(042・522・2451)。(吉沢智美)

この記事の関連ニュース