東京大地震研究所名誉教授の纐纈(こうけつ)一起氏は、南海トラフ巨大地震の臨時情報について、産経新聞の取材に「地震防災の手引きなどを改めて見直し、日頃の備えを確認しておくことが必要だ」と述べた。要旨は以下の通り。
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南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」が発表されたことを受け、まずは自治体から配布されている地震防災の手引きなどを改めて見直し、日頃の備えを確認しておくことが必要だ。
この注意情報は、想定震源域内でマグニチュード(M)7・0以上の地震が発生したことで出された。南海トラフ地震が近いうちに必ず起きるということまでは意味していない。
発表された根拠としては、世界中で起きたM7級の地震を調べたところ数百回に1回ほどの頻度で、隣接地域でM8級の大地震が発生していたという説明があった。
一方で、今回のような日向灘でのM7級の地震が南海トラフ巨大地震につながったという過去の事例は確認されていない。
したがって、臨時情報は確固とした根拠のある予測情報ではなく、可能性として備えを促すものであることを理解しておく必要がある。
慌てることなく地震への備えを再確認し、今後より確度の高い情報が出たら、もう一段備えを高めるべきだろう。(聞き手・黒田悠希)