宇宙航空研究開発機構(JAXA)が26日に種子島宇宙センター(鹿児島県)で行った、開発中の小型固体燃料ロケット「イプシロンS」に用いるエンジンの燃焼試験は、開始直後に爆発して失敗した。昨年7月に続く2回連続の失敗となる。日本の宇宙開発に詳しいJAXAの的川泰宣名誉教授(宇宙工学)に、今回の事故がもたらす影響などを聞いた。
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いま国が保有しているロケット実験場は、前回の試験で損傷し再建を予定している能代ロケット実験場(秋田県)と、今回の種子島宇宙センターのみだ。エンジンの燃焼試験が完了しなければ、ロケット開発は次に進むことができず、イプシロンSロケットの今後の打ち上げに与える影響は大きい。
イプシロンSと同等の打ち上げ能力を持つ国産の固体燃料ロケットは、ほかにない。もし、初号機で搭載を予定していた衛星の打ち上げを急ぐのであれば、海外のロケットで代替する必要が生じるかもしれない。
事故原因の究明結果次第だが、補助ロケットに固体燃料を使用している(大型ロケットの)H2AやH3の打ち上げに影響が生じなければよいがと考えている。
基幹ロケットは液体燃料のH3と、固体燃料のイプシロンSを両輪とし、国際競争力の強化を目指していくというのが国の方針。その中で起きた今回の事態は、残念なことだ。関係者は原因の解明に尽力し、早期に開発を再開できるように努めてほしい。(談)