東京電力は28日、福島第1原子力発電所事故で溶け落ちた燃料(デブリ)の試験採取を2号機で再開した。今年8月に着手する計画だったが、回収装置を押し込むパイプの接続ミスや、装置の先端に取り付けたカメラの不具合により2度の中断を余儀なくされ、今回が3回目の試みとなる。
東電によると28日午前、原子炉格納容器に回収装置を押し込む作業を開始。同9時すぎ、放射性物質を遮断するため原子炉手前に設置した「隔離弁」を装置が通過した。作業は数日かけて行われ、装置がデブリに到達するまでに1週間、回収までに2週間程度を見込んでいるが、2度の中断で作業の習熟度が高まったとして短縮できる可能性もあるという。
計画では、原子炉底部に堆積したデブリについて、「テレスコ式」と呼ばれる釣りざお型の装置を最長22メートルまで伸ばし、先端の爪形器具で3グラム以下のデブリ採取を試みる。回収したデブリは国の研究機関に運ばれ、成分や硬さなどの性状を調査し、将来の大規模取り出しに向けた工法の検討に役立てる。
東電は9月10日に試験採取に着手したが、装置先端のカメラ2台に不具合が生じ、映像が確認できなくなった。原因は高線量下で機器に電気がたまる「帯電」と推定し、再発防止策としてカメラの電源を切らずに作業を続けるとしている。