経済産業省は17日、中長期的なエネルギー政策の指針を示すエネルギー基本計画(エネ基)の原案を有識者会議に示した。原発について2040年度の電源構成見通しを「2割程度」と従来計画と同水準とし、再生可能エネルギーとともに「最大限活用する」と明記した。既存原発の大半に当たる30基程度を再稼働させる想定とした。
再生可能エネルギーは「4~5割程度」と最大の電源構成に引き上げ、火力発電は「3~4割程度」とした。50年に温室効果ガス排出を実質ゼロに減らす目標達成に向け、40年度に電源の6~7割を脱炭素電源で賄う計画になった。
武藤容治経産相は17日の閣議後会見で「脱炭素電源を安定的に確保できるかが国力を大きく左右する」と述べた。
原案では「特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指す」として、2011年の東京電力福島第1原発事故以降に記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」や従来計画にある「再エネに最優先で取り組む」との文言を見直した。
原発の建て替えの要件緩和も盛り込んだ。23年2月に閣議決定した「グリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた基本方針」では、廃炉を決めた原発の敷地内に限って建て替えを認めていたが、同じ電力会社であれば、ほかの原発の敷地でも廃炉した分だけ原発を建て替えることを新たに認めた。
再エネの電源構成をめぐっては、40年度の内訳として太陽光22~29%、風力4~8%、水力8~10%、地熱1~2%、バイオマス5~6%と示した。一方、火力は従来計画で比率を示していた石炭火力や液化天然ガス(LNG)などの個別の比率を示さなかった。
原案は17日の議論を踏まえ、来週の有識者会議に諮り、意見公募を経て25年2月ごろ閣議決定を目指す。
21年に閣議決定した計画では、30年度の電源構成について、原発を20~22%、再エネを36~38%、火力を41%とする見通しだった。