政府は総合経済対策に盛り込んだ電気とガス、ガソリン代を抑える補助金で、物価高に苦しむ国民の負担を引き続き軽減する考えだ。電気・ガスは2025年1~3月使用分が対象で、標準家庭の料金は最大月1000円安くなる。ガソリン価格は足下で1リットル約15円の補助を縮小しつつ継続する。ガソリン税を下げる「トリガー条項」の凍結解除を含むガソリン減税も検討入りし、価格低下につながる可能性がある。
一方、電気とガス、ガソリン代の補助金は再開や延長を繰り返し、財政負担はすでに11兆円規模に達する。脱炭素に逆行したり、市場の価格形成機能をゆがめたりするとの批判もあり、出口戦略が急務だ。トリガー条項は凍結解除で国と地方で1兆5000億円の税収減となり、流通現場の混乱なども指摘されるため、慎重な検討が求められる。
経済対策では、電気・ガスは25年1、2月使用分でそれぞれ1キロワット時2・5円、1立方メートル10円を補助。標準家庭(電気使用量は260キロワット時、ガスは30立方メートル)で月950円の負担が減る。3月使用分の補助は電気が1・3円、ガスが5円で、負担軽減額は488円。
24年8~10月使用分の補助よりも水準を低く設定した。この間の負担軽減額は最大月1565円だった。ただ、25年3月で打ち切られても参院選などを見据え、その後、また再開される可能性もある。
ガソリンは現在、小売価格が1リットル175円程度になるよう補助しており、補助なしでは190円程度の水準。24年12月から補助を縮小し、25年1月中旬までに全国平均で180円程度、2月中旬までに185円程度となる見通し。
ガソリン減税は今後、議論が本格化する。現行のガソリン税は1リットル53・8円で、本則税率分28・7円と上乗せ分25・1円からなる。国民民主党はガソリン価格が3カ月連続で160円を超えると上乗せ分を免除するトリガー条項の発動や、上乗せ分の廃止を訴える。(中村智隆)