日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原発2号機が13日、原子力規制委員会の安全審査で初の不合格となった。存続か廃炉かの判断は事業者に委ねられるが、日本原電は審査の再申請を目指す意向で、議論はさらに長期化する可能性もある。ただ、審査のクリアには規制委の結論を覆す「決定的な証拠」が必要となり、ハードルは高い。
原発の安全基準を定めた新規制基準は、12~13万年以降に活動し、将来再び動く可能性がある断層を活断層と定義する。敦賀2号機を巡る議論では、既に活断層と判明した「浦底断層」から枝分かれした位置にある「K断層」が最大の焦点となった。規制委の有識者調査団は平成25年、2号機直下の断層は活断層と評価したが、日本原電はこれに反発。行政不服審査法に基づき異議を申し立てたこともある。
審査は9年に及んだ。2度の中断を経て昨年8月の再開後はK断層に論点を絞り、日本原電側も岩石に含まれる鉱物のズレや変形から地層の堆積年代を測定する新たな手法を導入し活断層を否定したが、規制委は「科学的根拠に乏しい」として再稼働を認めなかった。
日本原電の村松衛社長は「廃炉の考えはない」と明言し、専門家を交えた追加調査で再稼働を目指す意向を表明した。だが、規制委の山中伸介委員長は「敷地内にはK断層以外にも130本以上の断層があり、その活動性を否定するのは困難」との見方を示す。
一方、今回の決定に関する一般からの意見公募では「議論が尽くされていない」との意見が多く寄せられた。13日の定例会合では、委員からも「審査の在り方に誤解がある」とくぎを刺す発言があった。
日本原電関係者は「規制委の判断はあまりに独善的だ。行政訴訟も含めあらゆる選択肢を排除しない」と徹底抗戦の構えをみせる。議論の成り行きは不透明だが、原電側にとって「背水の陣」である状況に変わりはない。(白岩賢太)