宇宙事業会社のスペースワン(東京都港区)は18日、開発中の小型固体燃料ロケット「カイロス」2号機を和歌山県串本町のロケット発射場、スペースポート紀伊で打ち上げたが、失敗に終わった。「カイロス」の2度目の打ち上げ失敗は、日本の宇宙ビジネスの先行きに深刻なダメージを与える可能性がある。
宇宙ビジネスの世界市場規模は、2040年に世界で1兆ドル(約150兆円)に達するといわれる。特に、民間企業が多様なサービスに使う小型衛星の打ち上げ需要の急成長が見込まれる。
小型衛星の打ち上げには、大型の液体燃料ロケットより機動性やコスト面で優れる小型固体燃料ロケットが適している。だからスペースワンは、衛星打ち上げの大量受注を狙ってカイロスを開発してきた。だが、失敗の連続で信頼は傷付いた。
小型固体燃料ロケットは、国の研究開発法人の宇宙航空研究開発機構(JAXA)も「イプシロンS」を開発中だ。だが、エンジン燃焼試験でこちらも2度の爆発事故を起こし、計画していた今年度中の初号機打ち上げは不可能とみられる。
そのため、カイロスは小型衛星打ち上げの受け皿として期待されたが、失敗の連続で、日本は小型衛星の打ち上げが困難な状況に陥った。
この状態が続けば、小型衛星打ち上げの顧客は海外に流れ、日本は経済成長の機会を失う。そんな事態を回避するには、潔く失敗を認めて学び前進するしかない。スペースワンは失敗を繰り返した開発体制を根本から見直し、次の打ち上げの成功を目指してほしい。(伊藤壽一郎)