東日本大震災で停止した東北電力女川原発2号機が15日、発電を再開させた。国の原子力政策上の焦点は、東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)に移る。立地自治体の同意に難航し、再稼働時期は不透明だが、同じタイプの原子炉を持つ女川原発が順調に稼働すれば追い風となる。
13年ぶりに再稼働した女川2号機は、震災で事故を起こした東電福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)。12月7日に原子炉起動を予定している中国電力島根原発2号機(島根県)も同じ炉型を採用する。
日本の原発再稼働は、加圧水型軽水炉(PWR)を採用する西日本に集中した。BWRより原子炉格納容器のサイズが大きく、安全対策が取りやすいと評価されたためだが、BWR初の再稼働となる女川原発の安定稼働は後に続く同型炉の原発に影響を及ぼす。
原発を最大限活用する方針にかじを切った政府は、首都圏に電力供給する柏崎刈羽原発の再稼働も先に見据える。政府関係者は「慢性的に逼迫する東日本の電力需給へのインパクトは大きい」と期待を寄せる。
女川原発の場合、地震や津波の被害が比較的軽微で、震災直後には周辺住民の避難所としても開放し、地元同意までのプロセスは円滑に進んだ。
ただ、柏崎刈羽原発では安全管理の不手際が重なり、立地自治体である新潟県の花角英世知事も「信頼性は東北電とは異なる」と指摘。不信は根強く、再稼働に向けた「最後の関門」となる地元同意への道のりは遠い。
日本経済の持続的成長に電力の安定供給は欠かせない。原発への理解と信頼を取り戻すために、政府と東電は覚悟を示し、丁寧な説明を尽くす責務がある。(白岩賢太)