富士通と横浜国立大は12日、スーパーコンピューター「富岳」を使い、台風に伴って発生する竜巻を予測する世界初のシミュレーション技術を開発したと発表した。実用化はまだ先だが、防災に貢献できるよう、今後も精度向上などを進める。
研究チームによると、日本で発生する竜巻の約2割が台風に伴っている。
竜巻は比較的小規模で急に発生するため、予測が難しい。大きさが直径数百キロメートルにもなる台風と、大きくても同数百メートルほどの竜巻では千倍のサイズ差がある。竜巻の発生を再現できるほど高い解像度で、台風全体の広い領域をシミュレーションするには膨大な計算量が必要だが、富岳を使うことで可能となった。
従来は4時間後の竜巻発生を予測するための計算に11時間以上かかったが、今回の技術で約1時間20分に短縮。竜巻の発生前に予測できるようになった。昨年8月に九州地方で竜巻被害をもたらした台風10号でシミュレーションしたところ、九州東岸で発生した多数の竜巻の再現に成功した。
ただ、発生時間で数十分から1時間ほど、発生場所は数キロから10キロ程度の誤差があるという。横国大の坪木和久教授は「防災につながるものにするため、より精度の高い予測ができるよう研究を進めたい」と話した。