日本初の民間ロケットの打ち上げは、爆発した初号機に続き成功とはならなかった。2度にわたって打ち上げが延期された小型ロケット「カイロス」2号機が18日、和歌山県串本町から発射された。機体ははるか上空を飛び去り、見守ったファンらは「おめでとう」と歓喜に沸いたが、飛行中断の連絡が入ると一転して落胆。ただ、「また応援する」と次回に期待する声も多かった。
この日は平日にもかかわらず、ロケット発射場のある串本町の田原海水浴場と、隣の同県那智勝浦町に設けられた見学場2カ所に計約千人が来場。「今日こそは」と期待したファンらが朝から詰めかけた。
田原海水浴場では、発射時刻の午前11時の1分前からカウントダウン。「3、2、1、ゼロ!」の掛け声とともに、「ゴー」っという轟音(ごうおん)とともに機体が飛び上がる様子が確認できた。
海側へ飛び去っていく機体を見送りながら、観客からは「おめでとう」「ありがとう」といった声が上がり、「成功」を祝う万歳も行われた。 ところが、発射から約20分後、会場に「飛行を中断します」とのアナウンスが流れると、「えっ」と驚きの声があがり、悲しげに上空を見上げる人の姿もあった。
会場で見守った和歌山県御坊市の公務員、浜田真衣子さん(25)は「飛んでいく様子を見て涙がにじんだ。成功と思っていただけに残念だが、前回よりも前に進んだ。これからも応援していきたい」と話した。
3月の打ち上げを含め4回目の来場となった大阪府泉大津市の会社員、福田吉治さん(52)は「飛び立つ姿を見て感動し、歴史的な日に立ち会えたと思った。(打ち上げ失敗は)楽しみが伸びたと思ってまた来ます」と話した。
同町の田嶋勝正町長は「ロケット打ち上げの難しさを改めて実感した。今回の原因を究明し、『カイロス3号』に向けて新たな挑戦に期待したい。町としても協力していく」と話した。(小泉一敏)