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東電、デブリ採取準備を中断 回収装置の配置ミス、再開は23日以降 福島第1原発2号機

産経ニュース 2024年8月22日 10時36分

東京電力は22日、平成23年3月の福島第1原発事故後初となる溶融燃料(デブリ)の取り出しに向けた準備作業を中断した。東電によると、釣りざお型の回収装置を押し込む伸縮パイプの配置にミスが見つかったためで、再開時期は23日以降になる見通し。デブリ採取は廃炉工程の中で最難関とされ、今回は2週間程度かけて試験的に数グラムを採取する計画だった。

東電によると22日午前7時24分、2号機で取り出し準備作業に入った。同49分、原子炉格納容器側面にある貫通部に、回収装置を押し込む伸縮パイプの配置にミスがあるのを作業員が気づき中断した。デブリは極めて強い放射線を出すことから、貫通部手前に放射性物質を遮断する「隔離弁」を設置。東電は隔離弁を開いて回収装置を通過させた時点で「取り出し開始」としている。

回収装置は「テレスコ式」と呼ばれ、太さの異なる2本のパイプをつなぎ、最長約22メートルまで伸びる。東電の計画では、回収装置を貫通部に差し込んだ後、先端に取り付けた爪形の金属器具を釣り糸のように約4メートル下の底部まで垂らし、3グラム未満のデブリをつかむ。

その後は器具を釣り上げてパイプを引き抜き、放射性物質を密閉する専用容器に入れて回収する。作業開始から装置がデブリに到達するまでに1週間程度、回収までにさらに1週間程度を見込む。作業員の被曝を防ぐため、1日当たり約2時間を作業時間に設定した。

事故で炉心溶融(メルトダウン)した1~3号機には推計880トンのデブリが堆積する。東電は今回採取するデブリを分析し、数年かけて段階的に取り出し規模を拡大。2030年代初頭には3号機で大規模な取り出しを目指すとしているが、計画通りに進むかは見通せていない。

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