健康や医療・福祉分野の研究力向上と社会での活用の加速に向けて、京都府立医大(京都市上京区)は設立した産学公連携機構を通じて、京都創業のグローバル企業である島津製作所(同市中京区)と堀場製作所(同市南区)の2社と、それぞれ包括連携協定を結んだ。
府立医大は京都発の革新的な人材育成や持続可能な研究・臨床環境などの整備を進めるため、企業や他大学、行政などと連携するためのプラットフォーム「K-MICS(ケーミクス)」を昨年4月に設立。趣旨に賛同した両社が参画し、連携の内容について検討を進めてきた。
連携事業では両社がそれぞれ単年度で2千万円を基金に拠出し、研究開発提案コンペのほか、人材交流や育成を図る連携講座「覚生(かくせい)塾」を実施する。コンペで堀場製作所は「感染症の診断から治療を迅速・簡便に進めるための分析・計測技術」、島津製作所は「新たな診断技術・治療法の開発」などをテーマに設定し、府立医大の研究者から募集。両社2件ずつを採用し、各200万円を研究費として助成する。
記者会見で島津製作所の山本靖則社長は「大学と企業が一緒に携わることで新たなイノベーションが起こることを期待する」、堀場製作所の足立正之社長は「連携事業を通じた3者の相乗効果で、研究内容の社会実装につなげていきたい」とそれぞれ話した。また、府立医大の夜久均学長は「医療の現場に両社の研究者も入ってもらい、新たなニーズの発見などにつながれば」と述べるとともに、さらに企業や大学との連携拡大に意欲を示した。(杉侑里香)