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日本橋-豊洲間を「舟旅通勤」、ふかふかシートに身を沈め快適な船内で夜景も楽しむ 東京 行ってみたい 水のある風景

産経ニュース 2024年7月30日 10時0分

日本橋(東京都中央区)といえば、東海道など「五街道」の起点に定められ、江戸の昔から日本の中心地としての役割を担ってきた。そんな都会のド真ん中から、今風にいえば「エモい」体験は始まる。橋のたもとには1隻のクルーズ船。じつは現在、民間船会社が「舟旅通勤」として、日本橋-豊洲(江東区)間を定期運航している。日没とともに千代田区大手町の産経新聞から徒歩で船着き場に向かい乗船すると、ちょっとした気分転換には絶好の夜景が広がっていた。

午後7時すぎ、日本橋の下を流れる日本橋川に現れたのは、まるで川面をはうような背の低いクルーズ船だった。案内され、船着き場から船内に乗り込む。11人がけのシートはフカフカで、都内で最高気温31・5度を記録した日だったが、エアコンもしっかりと効いており快適そのものだ。

これで料金は大人片道500円。豊洲住まいだったら週に一度は自分へのごほうびで使いたいな、などと思っていると、船体はエンジンをうならせながらゆっくりと川下へ走り始めた。

この日のこの時間は、満潮にほぼ重なっていた。日本橋川の水位も上がっており、いくつもの橋桁をかすめるようにして船は進んでいく。なるほど、この平べったいタイプでないと、川を運航するのは難しいのかもしれない。

川の両岸に立ち並ぶオフィスは明かりがこうこうとし、頭上の首都高速では車が行き交っている様子。会社員や運送ドライバーがまだ仕事に追われている時間に、自分はのんびりクルーズとは、なんだか申し訳ないような、それでいてぜいたくなような。

「では、これから隅田川に出ます」

舵を握る女性船長がそう告げると、船は一気に速度を上げ、それとほぼ同時にライトアップされた永代橋に目を奪われた。その奥にはビルやタワーマンションの明かりがまちを彩り、屋形船の姿も見える。クルーズディナーとはいかないまでも、せめて喉を潤そうと缶ビールを購入していたものの、あまりの美しさに見とれてしまい、フタを開ける間もなく船は東京湾に入り豊洲へ到着。約20分の舟旅だった。

移動距離は直線にしておよそ3・5キロ。にもかかわらず水上から見上げると、東京のまちはこんなにも表情を変えるのかと驚かされた。日本橋-豊洲間では、朝夕複数の便が往復している。別の時間にも乗船してみたら、また違った発見に出合えるかも。(宇都木渉)

舟旅通勤 船着き場は日本橋側が東京都中央区日本橋1の9先、豊洲側が江東区豊洲2の4の9。チケットはウェブ予約が優先販売で、満席の便は当日券の販売はなし。船内での飲食可。使用船舶は当日の天候や潮位などの関係で急遽(きゅうきょ)変更となる可能性あり。乗船料金は中学生以上500円、小学生250円、小学生未満は大人と同数まで無料。【問】https://www.suitown.jp/

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