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1人なのに2席予約→直前キャンセルの「相席ブロック」、バス会社ら懸念 8月帰省本格化

産経ニュース 2024年8月1日 14時3分

高速バスなどで1人の利用でも隣接する2席を予約し、出発直前に片方をキャンセルして相席を避ける「相席ブロック」という行為が問題視されている。8月に入り、帰省シーズンが本格化。バス事業者側はキャンセル料の値上げなど対策に乗り出している。

「高速乗り合いバスで、個人で2名分隣り合わせに予約して出発間際に1名分をキャンセルするなど、意図的に相席をブロックする行為は、絶対におやめください」

6月、北海道のバス事業者がX(旧ツイッター)にこんな投稿をした。同社は産経新聞の取材に、「相席ブロック行為が、弊社運行のバスで横行しているわけではない」とした上で、「業界内で問題視されているのは事実。注意喚起の意味合いで発信した」と説明する。

関係者によると、相席ブロック行為が横行する背景には、キャンセル料の安さがある。多くのバス会社が、約款で払い戻し手数料を100円程度と定めており、乗車当日にキャンセルしても変動しないことが一般的という。

ホテルの予約などに比べて格安で、利用客側に「これくらいで済むなら」といった判断に至らせているとの指摘がある。高速バスでは長時間の乗車になるケースもあり、スペースを確保したいとの欲求がより強いとの見方もある。

運賃の50%に増額

京王バス(東京都)は7月1日から、高速バスの「新宿ー富士五湖線」について、乗車券の払い戻し手数料や決済期限を改定した。

払い戻し手数料では、これまでは乗車日当日でも100円(発車10分前以降は払い戻し不可)だったが、改定後は、乗車日前日の午前0時以降にキャンセルした場合、運賃の50%を支払う。

また、決済期限では、予約日を含む3日以内または乗車日3日前までに決済しない場合、自動キャンセルされる。これまで自動キャンセルの対応はしていなかった。

同社によると、当該路線では、利用予定を「はるかに超える数」を多重に押さえ、当日や直前でキャンセルする行為が散見されていたほか、席の予約のみで未決済の状態が続き、運行当日も客が来ないまま空席で推移することもあった。今回の改定は、それらに対応するための措置だとしている。

性善説が前提

SNS上では、「相席が嫌なら2席分を買うのが常識」「完全な業務妨害」など、相席ブロック行為を非難する声が続く。

キャンセル料をもっと上げるべきとの意見も多いが、あるバス会社は、「ご一緒される予定だった方が乗車当日に体調を崩すようなことは、実際に起こりうる。基本的には性善説の中で運用しており、やたらに値上げはしにくい」と打ち明ける。

8月に入り、帰省などによる予約が増える時期に入っており、「本当に乗りたい方が乗れなくなってしまう。正しい利用をお願いしたい」としている。

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