ステージの照明が落とされると、飛び回る炎の明かりに照らされ、鍛え抜かれた戦士たちの肉体が浮かび上がった。
福島県いわき市の大型レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」で、創業60周年目を記念して1月15日にスタートした新しいショー。暗闇で華麗に炎を操る彼らは、日本で唯一のファイヤーナイフダンスチーム「シバオラ」(SivaOla)だ。
ファイヤーナイフダンスは、「ナイフ」と呼ばれる両端に火が付いた棒を華麗に操るサモアの伝統的な踊り。戦いや狩りの際に武器を振るしぐさが起源とされ、動物が恐れる炎を口にしたり、足の上に乗せたりする勇敢さが見どころだ。
「子どもの頃に危ないから触ってはいけないと教え込まれていた火を勇敢に扱う姿に憧れました」
シバオラのメンバー、ムア史弥さん(27、本名・松島史弥)は、物心ついたころに家族旅行で見たスパリゾートハワイアンズのファイヤーナイフダンスに夢中になった。
「将来はハワイアンズでダンサーになりたい」
史弥さんは4歳年上の兄、憂弥さんと一緒に、棒を使って見よう見まねで練習を重ねた。2016年、兄弟でファイヤーナイフダンサーとして、スパリゾートハワイアンズを経営する常磐興産に入社した。
ファイヤーナイフダンスで扱う炎は、ダンサーにとっても熱い。炎が意図せず体に接触すれば、やけどは避けられない。入社後も兄弟で厳しい練習にひたむきに打ち込んだ。
その結果、ファイヤーナイフダンスの世界選手権大会で、2018年に兄のバル憂弥さんが、昨年にはムア史弥さんが、ともに2位の成績を収めた。
向上心を絶やさず進化を続けるムア史弥さんの姿に、シバオラのキャプテン、ジンLEONさんは「世界大会で2位になっても彼は全然満足してなくて1位を目指している。トレーニングも食事も気をつけて、相当ストイックに取り組んでいる」と絶賛する。
ムア史弥さんは「シバオラは世界トップクラスのファイヤーナイフダンスチーム。ステージに近い席では炎の熱さまで感じられる。実際に見に来て、ファイヤーナイフダンスを肌で感じてもらいたい」と笑顔で語った。(岩崎叶汰)