Infoseek 楽天

日本庭園さながらの情緒と優美、幾筋もの流れが重なり合う「吐竜の滝」 山梨・北杜 行ってみたい 水のある風景

産経ニュース 2024年8月5日 10時0分

数多くの滝に恵まれている山梨県。中でも、旅行雑誌やガイドブックなどで名瀑として取り上げられるのが、北杜(ほくと)市の「吐竜(どりゅう)の滝」だ。緑に覆われた岩の間から絹糸のように水が流れ落ちる神秘さゆえに「竜の吐く滝」と名付けられた。八ケ岳から流れ出る川俣川の冷たく清らかな水と、滝が放つミストによるマイナスイオンに癒されようと、夏場には多くの人が訪れる。

滝といえば、落差の大きさや水量の豊富さといった激しいイメージがあるが、吐竜の滝は小さな滝が何段にもなって落ちていき、日本庭園のような情緒と優美さを持っているのが特徴。落差10メートル、幅15メートルで、幾筋の滝が重なり合っている。

標高1230メートルにあり、高原リゾート地として知られる清里高原から約3キロ。駐車場に車をとめ、天然林の中の遊歩道を進んでいく。歩き始めて数分もすると、「ゴーゴー」という川俣川の流れの音が聞こえてくるが、木々や笹が覆い茂っているため川の様子はうかがえない。

しばらく行くと、背の高い人工物が木々の合間からみえてきた。JR小海線の鉄橋の橋脚だ。乗客が吐竜の滝を見物できるよう、電車がゆっくり進むこともあるという。ここを過ぎて橋を渡ると、吐竜の滝に到着する。駐車場から歩くこと約15分。遊歩道は、アップダウンがあるもののスニーカーで十分だ。子供でも歩いていける。

滝の対岸にある遊歩道から川俣川に近づき、水に手を入れてみる。ひんやりとして気持ちいいが、次第に冷たさが伝わってくる。

周囲を覆いつくす木々と、青々とした岩のコケ。滝しぶきが、日の光に照らされてきらきらと輝く。滝は見る角度や場所によって表情が変わり、訪れる人を飽きさせない。段差を水が滑り落ちていき、奥行きのある渓谷美を堪能できる。

暑い夏場は「天然のクーラー」として涼を求める人たちを引き付ける一方、秋も見どころは多い。周囲に広がる天然林には、アカマツやツガなどの針葉樹とミズナラやカエデなどの広葉樹が入り交じっており、気温の低下とともに赤や黄色に色づいた木々が滝を彩る姿は絶景だ。夏場とはまったく違う表情をみせてくれる。

首都圏からのアクセスも良い。清流沿いの遊歩道をトレッキングしながら、新緑や紅葉を楽しんでみてはどうだろう。(平尾孝)

吐竜の滝 山梨県北杜市大泉町西井出8240―1。駐車場(無料)までは、JR小海線の甲斐大泉駅もしくは清里駅からタクシーで約10分、車の場合は中央自動車道長坂インターチェンジ(IC)から県道28号経由で約20分。駐車場からは徒歩で約15分。入場無料。【問】北杜市観光協会(0551・30・7866)。

この記事の関連ニュース