環境省、山梨、静岡両県、関係自治体などによる富士山のオーバーツーリズム(観光公害)対策協議の会合が14日、山梨県富士河口湖町で開かれ、今夏は両県の登山規制や実証実験などで「著しい混雑は生じなかった」として、今年3月策定の総合対策がおおむね機能したと評価した。一方で静岡県の登山道では、夜間に一気に山頂を目指す「弾丸登山」を抑制できていないとし、対策の見直しが必要だとした。
協議会では、山梨県が登山道の5合目にゲートを設置し、時間帯と登山者数で入山規制を始めたことが、弾丸登山の抑制に「目の見える効果があった」とした。静岡県がインターネットの事前登録システムを導入し、これによって、登山者への情報発信が強化されたことが混雑の偏りをなくす面で有効だったとした。
来年の夏山シーズンに向けては、静岡県が条例による入山規制実施に向け、近く県議会で議論を始めると説明。山梨県は規制時間ギリギリにゲートを通過し、弾丸登山同様の行為となっている「駆け込み登山」対策としてゲートの閉門時間の前倒しを検討していることを明らかにした。
同協議会は来年3月に来夏に向けた対策パッケージを決定する。環境省の神谷洋一関東地方環境事務所長は「3月までに環境省、両県で協議を重ね、全体としてバランスの取れた対策にしたい」と話す。