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AI活用で災害時支援を効率化 神奈川県 被害連絡などデータ整理 11月導入目指す

産経ニュース 2024年9月6日 19時22分

神奈川県は、大規模災害時の支援を効率化するため、保有しているさまざまな情報をとりまとめるデータシステムに自然言語処理を得意とする人工知能(AI)の「大規模言語モデル(LLM)」を組み込む。今年度の一般会計補正予算案に3300万円を計上した。国の通達や現場からの被害連絡など、刻一刻と変化する膨大なデータをAIが整理し、職員をサポートする。

最新情報を一目で

県がAIを組み込んで強化するのはさまざまな部署で保有するデータを連携させるための「データ統合連携基盤」。AIが情報を整理することで、職員は必要なデータを見つけやすくなったり、法解釈やガイドライン、国の通知などの最新情報を一目でわかったりするようになるという。

被害状況が刻一刻と変化する災害に対し、気象データやシミュレーション結果などとも連携させて、迅速な被災者支援につなげる。9日に開会する県議会本会議に予算案を提出し、11月ごろの導入を目指す。

組み込まれるLLMは膨大な文章などを学習して構築されており、言語の分析を得意とする。「チャットGPT」などの対話型AIで自然な文章のやりとりができるのも、LLMが会話を分析しながら文章を作成しているからだ。

「災害関連死をゼロ」が目標

県は1月に発生した能登半島地震を機に、大規模災害へのデジタル対応を見直しており、今回のデータ統合連携基盤の強化もその一環。石川県で被災者のデータシステムを構築した神奈川県情報統括責任者(CIO)の江口清貴氏を中心に「災害関連死をゼロにする」という目標を掲げる。

県内の避難所へのマイナンバーカードの読み取り機を配備し、避難所運営に関するデータをリアルタイムで収集するシステムの整備を進めている。

既存のデータ基盤に、被災者のリアルタイムな情報も連携させることで、支援物資の配送や医療支援を、きめ細かく迅速に行えるようになるという。大規模災害では、県のほか、国や自衛隊、警察、市町村、自治会やボランティア団体などさまざまな主体が活動し、情報がバラバラに管理される懸念があるため、データの連携が迅速な被災者支援の鍵となる。(高木克聡)

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