JR高崎線の本庄駅、神保原駅、関越自動車道本庄児玉インターチェンジ(IC)の3点を結んだ真ん中に位置する。ガラス窓が多くて開放的な店内はまるでカフェのよう。この小洒落(こじゃれ)た店で特徴のある讃岐系うどんを提供している。
テーブルにあるメニュー表には県北で定番の肉汁うどん(700円)などがあるが、ホワイトボードに書かれた店主の入沢力さん(62)が考案した「おすすめメニュー」が目についた。ボードの「しじみうどん つけ汁」(1000円)が気になったので、注文することにした。
想像したよりもつけ汁が濃厚だ。本場の讃岐うどんに引けを取らないツルツルした喉ごしのうどんとよくからむ。しじみ汁とうどんを取り合わせた発想のきっかけを尋ねたところ、「自分は酒が好きなので、しじみが体に良いと思ったから」とシンプルな回答だった。
元JR職員で、勤務時に自ら夜食にうどんを作るほどの好きが高じて、退職後、香川県で讃岐うどんを学んだのち、店を構えるまでに至った。禅宗で食料の神様を指す「韋駄天」に「人が集まり繁盛」の願いを込めて「韋」の字にニンベンを付けて店名にした。
粉は「モチモチ感を出したいから」とさぬき一番粉をメインにしている。店内にいた深谷市の男性会社員(45)は「シコシコしていてうまいです」と平らげていた。
「おぼろ根昆布うどん」(850円)では、薄口しょうゆを使った関西風の汁と、埼玉県人の好みに合わせ濃口しょうゆを使った関東風の汁の2種類を用意するなど配慮が細やか。カレーうどん(900円)では、汁を煮込んだあとに、さらに粉のスパイスを入れるなどひとひねりする。
最近、女性を中心に人気を集めるメニューが、夏季限定「スパイシートマトうどん」(850円)だ。「女性従業員からトマト味のうどんが食べたいと提案があり開発しました」と入沢さん。トムヤムクン味をベースに自家製の辛みそなどで味付けしたつけ汁は、スパイシーで夏にぴったりだ。
お店の場所が住宅街にあるためか、コロナ禍では外食をする人が少なく経営に苦労した。「今も(客足は)あまり回復していません」と静かに語る入沢さん。もっとも「新しい商品をどんどん作っていきたい」と気合は十分。県内はもちろん都心からも車を走らせて食べに行くだけの価値がある独創的なうどん店だ。
(昌林龍一)
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■うどん 偉駄天
住所:埼玉県上里町七本木2528の3
電話0495・33・1837
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■観光メモ 県有数の梨の産地である上里町は7月中旬から11月下旬まで13種の梨が生産されている。7月中旬から「はつまる」、11月下旬からは1㌔以上になる大玉品種で贈答用にも人気の「愛宕」が出荷される。梨の直売所はアグリパーク上里(同町勅使河原)など。8月上旬には約3000平方㍍に約1万5000株から2万株のヒマワリが咲く「上里ひまわり畑」が見頃を迎える。問い合わせは、上里町産業振興課(0495・35・1232)