合格祈願の寺として知られる奈良県桜井市阿部の安倍文殊院の境内に、来年の干支(えと)「巳(み)」を約8千株のパンジーで描いたジャンボ花絵(縦20メートル、横25メートル)がお目見えした。同寺がまつる平安時代の陰陽師(おんみょうじ)、安倍晴明(あべのせいめい)は921年の巳年生まれで、「ゆかりの深い年に合わせてお参りを」と呼びかけている。
花絵は平成8年の「子(ね)年」に合わせて始まり、今回で30回目。2匹のヘビが仲良く絡み合うデザインで、「巳(み)んなが笑顔に」との願いを込めた。晴明にちなんで魔よけの「五芒星(ごぼうせい)」とともに、葉ボタンで「合格」の文字も表現し、受験生にエールを送っている。
職員が約2週間かけて制作し、来年4月頃まで楽しめる。植田俊應(しゅんのう)貫主は「来年は晴明にあやかって穏やかな年にと願っています」と話した。
本堂では現在、免震工事に伴って国宝の文殊菩薩(ぼさつ)像が獅子から降ろされた状態で安置され、普段より間近で参拝できることから、近畿日本鉄道が同寺の協力で最寄りの桜井駅の記念入場券を販売している。
同像と獅子が離れるのは平成21年の調査以来15年ぶりで、来年5月頃まで参拝できる。記念入場券に付いている本堂拝観料の割引券を提示すれば、昔ながらの改札バサミで切り込みを入れる趣向。限定500セット、180円。来年3月31日まで桜井駅と大和八木駅(橿原市)で販売。問い合わせは大和八木駅(0744・22・2305)。