27日にオープンな形式で行われたフジテレビの記者会見には、多くの報道関係者が集まった。撮影を制限するなどした17日の会見は閉鎖性に批判が集中。不祥事会見の対応が問題視されるケースは繰り返されてきており、組織の情報発信の在り方が問われている。
一昨年、旧ジャニーズ事務所による性加害問題を受けた会見では、特定の記者を指名しないようにする「NGリスト」の存在が発覚。平成30年の日本大のアメリカンフットボール部による悪質タックル問題の会見では会見を切り上げようとする司会が反発を呼んだ。
リスクマネジメントに詳しい危機管理コンサルタントの田中辰巳氏は「会見で不手際が繰り返されるのは、多くの不祥事の会見を目にしていても、自分の会社で起こるわけはないと考え、過去の事例が対岸の火事になってしまっているからだ」と指摘する。
この日の会見では、当事者の女性が特定される恐れがあるとして司会者が報道陣に質問を遠慮するように求める場面が相次ぎ、反発を受けた。田中氏は「本来的にフジテレビ側には回答責任がある。質問を受け止め『回答はいたしかねます』などとすべきだった」とした上で「幹部の辞任発表など形式重視の印象を受けた。同じような事案がなかったかなどを徹底的に調べ上げて臨むべきだった」と話した。(堀川玲)