宮城県の村井嘉浩知事は23日の記者会見で、土葬が可能な墓地を県内に設ける必要性に言及した。宗教的に土葬を望むイスラム教徒を念頭に「外国人が増えていくと、結婚して家庭を持つ人もいる。日本人でイスラム教に改宗し、土葬を望む人もいると思う」などと説明した。
国内は火葬が99・9%以上だが、墓地埋葬法で土葬は禁じられていない。県の担当課によると、土葬ができるムスリム墓地は全国で6自治体にあるという。
土葬墓地の設置を検討するのは、村井氏が数年前に、多文化共生社会の実現について外国人らと意見交換した際、イスラム教徒から「非常に困っている。日本で家庭を持ち、宮城で埋葬してほしいという思いを持っているが、墓がない」との意見が寄せられたことも踏まえている。この日の会見では「東北に一つもないのは課題ではないか」とも言及した。
村井氏は会見で「日本で家庭を持っている人や、単身で来て日本でしか埋葬できない人もいる。その人たちの希望に応えることも重要だ」と述べ、「多文化共生社会といいながら、そういう所に目が届いていないのは行政としていかがか。批判があってもやらねばならない」と強調した。
村井氏は9月の県議会で、具体的な設置場所について「さまざま調査し、県内での実現を検討したい」と意欲を示していた。担当課によると、県営も含めて検討している一方、設置場所も時期も未定だという。(奥原慎平)