Infoseek 楽天

滋賀でオオサンショウウオの交雑個体捕獲 人為的に放流か 外来生物法違反の恐れ

産経ニュース 2024年10月10日 19時43分

滋賀県多賀町と同県甲良町にまたがる犬上川で今年8月、オオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオの交雑個体1匹を捕獲したと10日、滋賀県立琵琶湖博物館(草津市)などが発表した。オオサンショウウオの交雑個体は特定外来生物に指定されている。人為的に放流された可能性が高いため外来生物法違反の恐れがあり、同館は「生態系に大きな影響を与える恐れもある。特別天然記念物のオオサンショウウオの絶滅につながりかねない」と危惧している。

今年7月以降、「犬上川でオオサンショウウオを見た」との情報が数件相次いで同館などに寄せられた。これを受け、同館と長浜バイオ大(同県長浜市田村町)、保護団体「滋賀のオオサンショウウオを守る会」(会長=齊藤修同大教授)が調査に乗り出し、同8月10日に個体1匹を捕獲した。

捕獲された個体は全長134センチ、体重17・16キロと非常に大きく、同大のDNA分析の結果、オオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオの交雑個体であることが判明した。犬上川ではこれまでにオオサンショウウオの確認・目撃例がないことから、人為的に他の場所から持ち込まれ、放流されたとみられる。

オオサンショウウオの交雑個体は、外来生物法で今年7月1日から、飼育や移動が禁止される特定外来生物に指定されたばかり。今回は法令施行後、全国初の違反発覚事例とみられる。

同館の金尾滋史学芸員は「放流者の意図は分からないが、生態系に大きな被害を与える恐れのある行為。県内に生息するオオサンショウウオの絶滅にもつながる」と警告。「文化財保護法で許可がなければオオサンショウウオを触ることも捕獲することも違法。交雑個体も飼育や移動が禁止されているので、オオサンショウウオを見かけても安易に触ったり、捕獲したりせず、近隣の自治体や博物館など専門機関に連絡してほしい」と呼び掛けている。

この記事の関連ニュース