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信長、秀吉、秀秋 戦国武将の動向伝える「制札」を公開 滋賀・成菩提院

産経ニュース 2024年6月27日 16時27分

米原市柏原の成菩提院(じょうぼだいいん)が所蔵する織田信長らの制札(せいさつ、禁制札)4枚が、3月に県指定文化財に指定されたことを記念して同寺で公開されている。制札は軍勢などの乱暴狼藉を防止するため、有力寺社などが権力者に発給を要請したもので、戦国武将の動向を知る貴重な歴史資料だという。公開は30日まで。

4枚は、「織田信長禁制札」「丹羽長秀・羽柴秀吉連署禁制札」と2枚の「小早川秀秋禁制札」で、小早川秀秋の1枚を除き、それぞれの武将の花押が描かれている。

成菩提院は天台宗の開祖・最澄によって創建されたと伝わる古くからの談議所(学問所)で、近江と美濃をつなぐ街道沿いにあり、それぞれの武将が寺に宿営した際に発給したと考えられるという。

織田信長禁制札は、永禄11(1568)年に京を目指して近江を侵攻する信長が与えたもので、「陣取り放火・濫暴狼藉・山林竹林の伐採」を禁じている。信長は翌月に近江の六角氏を駆逐して上洛を果たしている。

丹羽長秀・羽柴秀吉連署禁制札は、本能寺の変で信長が討たれた後の天正10(1582)年12月に発給された。羽柴(豊臣)秀吉と柴田勝家が激しく対立している時期で、元自領の長浜を勝家の子・勝豊から奪還した直後に出されたものだという。

小早川秀秋禁制札は慶長5(1600)年9月、天下分け目の関ケ原合戦の際に秀秋が与えた。発給が合戦の前か後かは不明だが、重要な歴史を秘めた禁制札とされる。

同寺総代で元彦根城博物館学芸員の谷口徹さんは「歴史的価値が認められた制札から、武将たちが宿営した街道の歴史に思いをはせてほしい」と話している。展示は午前9時~午後4時。入山料500円。問い合わせは成菩提院(0749・57・1109)。

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